KANとスキマスイッチと

KANとスキマスイッチから思うこと

KANが手掛ける楽曲にはオマージュがよく含まれます。
ビートルズ、ジョン・レノンポール・マッカートニーのソロ作品、ビリー・ジョエル、スティーヴィー・ワンダー等から強く影響を受けており、楽曲の節々にそれらを感じることができます。

しかし、KANは普段表に出さないものの音楽理論もものすごく長けており、オマージュと言いながら本気で研究して、本人になりきっているくらいしっかりした楽曲を作ります。
KANが誰かとコラボしたり、楽曲を提供する場合には、必ずそのアーティストが書きそうな歌詞、作りそうなメロディーを必ず入れています。
それだけそのアーティストのことを調べているし、必ずリスペクトが入っているように感じられます。

KANの楽曲の中で、洋楽をあまり詳しくない私がビートルズのオマージュらしさをはじめて感じたのは、「GIRL TO LOVE」でした。
本人がオマージュとしたのかは定かではありませんが、個人的にビートルズの「The Long And Winding Road」と同じような切なさとノスタルジックな雰囲気を感じました。

Mr.Childrenの桜井氏はKANの影響を受けてオマージュとした楽曲を作っていましたが、KANはその反対に逆輸入的なこともしています。

KANは自身のアルバム「6✕9=53」に収録されている「scene」は、スキマスイッチの「全力少年」、ミスチルの「箒星」を意識して作った楽曲だと「KAN詞集 きむらの和歌詞(わがし)」で綴っています。

仮タイトルは「全力箒星」ということで、完成させるにあたって、Mr.Childrenの2000年代シングルを熟聴して、メロディーやコード展開を理論的に分析し、歌詞はスキマスイッチの「全力少年」をイメージして仕上げたということです。
このことは、2人からリスペクトパロディとして許容できるかを伺って快諾してもらったということで、このようなやりとりができる音楽業界って素敵ですね。


またKANは、aikoやperfumeのライブでよく使われている「男子〜」「女子〜」というようなコール&レスポンスを自身のライブでも取り入れて真似するなどいう面もあります。
後輩のよいところも認めて、よいものはしっかり取り入れるという素直さと少しかわいさも見えますよね。

回奏パズル produced by KAN」から思うのは、まず、アルバム「re:Action」がコンセプト・アルバムであるがゆえにあまり、KANのこの偉業があまり世間に知られていないのではというところに悔しさを感じます。しかし逆に、こんなすごい曲をこんなところに潜めてるというところで嬉しくもあったりし、なんとも複雑な気持ちです。

実は初めて「回奏パズル」を聴いたとき、前情報が全く入ってなかったため、ちょっとフレーズのつなぎ目に不自然さを感じました。そして、「あれ?このフレーズあれじゃん!」「あれ?こっちのフレーズあれじゃん!」と徐々に紐解かれ、パズルのように組み合わされたものだと気づいたとき、「ナニコレすげぇ」と感動したことを憶えています。
このような感動ってなかなか味わえないですよね。
「カサナルキセキ」は全くノーマークだったため、リアルタイムで追えてたら同じくらい感動できたかもしれないですね。

また、KANとスキマスイッチの楽曲で個人的にリンクするところがあります。
それは、KANの「Songwriter」にある”La la la la la la la, la la la la la la la, la la la la la la la こんなメロディーはどう”という歌詞と、スキマスイッチの「パラボラヴァ」にある”そう ah〜 こんなメロディを 君は気にいるかな”という歌詞です。

KANの方は、まだ見ぬ未来の恋人に向けての言葉はないけどまずはメロディーを作ったよというメッセージ(と捉えられた)なのに対し、スキマスイッチの方は幸せいっぱいのときの恋人に向けてのメッセージで、メロディを人生になぞらえていると思われるため、状況に違いはあるのですが、こんなメロディーはどうと投げかける感覚が同じセンスに感じられて嬉しくなりました。

KANがビートルズやビリー・ジョエルを慕うのと同じく、KANを慕う人も多くいます。
ミスチルの「Over」は先程挙げたとおり、KANの楽曲のオマージュでしたし、そのデモテープのタイトルが「2ビートでKAN」という名前だったとのことです。

同じくミスチルの「終わりなき旅」もKANの「まゆみ」「MAN」の融合だと桜井氏本人が公言しています。

スピッツの草野マサムネはKANの高校の後輩で、スピッツの「正夢」には「愛は必ず最後に勝つだろう」という歌詞が含まれており、KANの「愛は勝つ」の影響を受けていると言われています。

CHAGE and ASKAの「SAY YES」もKANの「愛は勝つ」のような曲を作りたいと思ってできた曲だそうです。

aikoも学生時代からKANのファンで、どこかでKAN風の音色が出ているかもしれないし、今後も出るのかもしれないと言っています。

曲ではなくタイトルですが、ゆずの曲に「言えずのアイライクユー」という曲がありますが、これもKANの「言えずのI LOVE YOU」が元になっているのは明らかですね。

一方、スキマスイッチも影響を受けたアーティスト、影響を与えたアーティストがいます。

大橋がMr.Children大好きなのは有名ですが、その他にも影響を受けたアーティストとして玉置浩二、ビートルズ、德永英明らを挙げています。
常田は槇原敬之と小林武史、GRAPEVINEを挙げています。また、二人のルーツとして奥田民生が挙げられています。

そしてスキマスイッチから影響を受けたというアーティストもたくさんいます。

  • Kaede(Negicco)
  • Uru
  • はっとり(マカロニえんぴつ)
  • Official髭男dism
  • Ayase(YOASOBI)
  • Anly
  • 藤井風

いずれも、歌詞やメロディーを作る上での音楽のルーツになっていたりするとのことです。

スキマスイッチは特に、歌詞がよいというのは評判で、歌詞やメロディーへの隠れた意味付けが多い印象です。楽曲によって比喩も多用して間接的、抽象的な表現をするものと、具体的で直接的な表現をするものと使い分けており、ダブルミーン、トリプルミーンと複数の意味を持たせたり受け取り方のバリエーションが多いところも魅力です。
本人たちはそれについてあまり細かくは語らないところも、あえて聞き手によって感じ方が変わってほしいというところだと思うのでよいと思います。

この辺りの魅力も、様々なアーティストに影響を与えているひとつだと思います。

ミスチルの桜井氏がラジオで言っていたと思うのですが、桜井自身は、KANや浜田省吾、ハウンドドッグらの影響を受けており、さらにはMr.Childrenの影響を受けたスキマスイッチなどがいて、音楽を繋いでいっているという表現をしていました。

本当にそうだと思います。KANもビリー・ジョエルらの音楽の影響を受けて、その音楽を引き継ぐ人がいて、音楽を繋いでいく。
それは、音楽理論的なことだけでなく、音楽に向ける姿勢みたいなものも含めてです。

特に、コンサートでファンをこれでもかというくらい楽しませようとするマインドや、ASKAや秦 基博らとコラボするなど、所属事務所関係なくファンが喜びそうなこと、面白そうな企画をするところ、きちんと技術をもって実際にそれをやってのけるところは、KANらしいところだと思います。

これらを引き継ぐのはなかなか簡単ではありませんが、KANを知る人ならそのマインドは必ず心に残っていると思います。

KANの音楽に対して真剣なところ。こだわりがあるところ。
人の音楽をきちんと知ろうとするところ。
素直にリスペクトできるところ。それを取り入れられるところ。
人を楽しませることが好きなところ。エンターテイナーであること。
よいと思うことに突き進めるところ。人を巻き込んでお互いの良いところを引き出せるところ。
おちゃめなところ。かわいいところ。

本当に色々なことを残してくれました。

参考

KANタービレ~今夜は帰さナイトフィーバー~特設サイト:https://kantabile.jp/


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