サイトアイコン root | 残したいこと

KANとスキマスイッチと

KANとスキマスイッチのこと

KANとスキマスイッチの関係

2023年にデビュー20周年を迎えたスキマスイッチ。
2023年11月12日にメッケル憩室がんを患い闘病の末亡くなったKAN。

2024年11月12日。KANの命日にあたる日に、KANと親しかったアーティスト達が集う「KANタービレ~今夜は帰さナイトフィーバー~」が開催されました。
スターダスト☆レビュー、馬場俊英、スキマスイッチ、秦 基博の4組がホストとなり、KANの交友関係の広さを物語る豪華なアーティスト達を迎えながら、KANのツアーを支えたバンドメンバー、スタッフが集結し、KANのかずかずの名曲が歌われました。

このKANとスキマスイッチのはじめての大きな接点となっているイベントは、「星屑の隙間に木村基博」(通称:ホスキモ)でしょう。
2010年に、スターダスト☆レビュー、スキマスイッチ、KAN(本名:木村 和(かん))、秦 基博の4組によるオムニバスイベントが開催されました。

スキマスイッチと秦 基博以外は所属事務所が別でありながら、音楽だけでなくコントありのイベントでした。

そんな親交があったKANとスキマスイッチ。
ここに偉大なる関係性があります。

スキマスイッチの楽曲の中に、
KANがスキマスイッチに贈った「回奏パズル」、
スキマスイッチがKANに贈った「魔法がかかった日」

という曲があります。

KANがスキマスイッチに贈った「回奏パズル」は、スキマスイッチの名曲の各フレーズをパズルのように組み合わせて、11ヶ月かけて一つの曲に仕上げた大作です。

スキマスイッチがKANに贈った「魔法がかかった日」は、KANが亡くなってから作られた、KANの名曲の数々のエッセンスを組み合わせた曲になっています。

どちらも様々な曲の要素がちりばめられており、ファンにはたまらない曲となっています。

KANのプロフィール

KAN(かん)

KAN(カン) シンガー・ソングライター。1962年9月24日生まれ、福岡県出身。本名は木村 和(きむら かん)。アップフロントクリエイト所属。1987年4月、『テレビの中に』でレコードデビュー。1991年にリリースした「愛は勝つ」は200万枚を超える大ヒットとなる。同年12月、『第33回日本レコード大賞』ポップス・ロック部門で日本レコード大賞を受賞。『第42回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす。2013年12月、『第46回 日本有線大賞』で特別賞を受賞。2023年11月、死去(享年61歳)。

フリガナカン
性別男性
生年月日1962/9/24
星座てんびん座
血液型AB型
出身地福岡県
ジャンル歌手・アーティスト
デビュー年1987年
デビュー作テレビの中に (シングル)

出典:(VIPタイムズ社)

スキマスイッチのプロフィール

スキマスイッチ

スキマスイッチ 大橋卓弥(Vo&G)、常田真太郎(P)による2人組ユニット。1999年結成。2002年に『AUGUSTA CAMP 2002』のサブステージに出演し注目を集める。翌年にシングル「view」でメジャーデビュー。シングル「全力少年」で『第56回 NHK紅白歌合戦』に初出場、シングル「ボクノート」で『第48回 輝く!日本レコード大賞』金賞を受賞した。高い音楽性が幅広い層から支持を集めている。

フリガナ スキマスイッチ
ジャンル 歌手・アーティスト 、音楽プロデューサー
デビュー年 2003年
デビュー作 view (シングル・BMGオーガスタレコード)
代表作 奏 (かなで) (シングル)/2004年
全力少年 (シングル)/2005年
POPMAN'S WORLD (アルバム)/2013年
POPMAN'S ANOTHER WORLD (アルバム)/2016年

出典:(VIPタイムズ社)

回奏パズル

「回奏パズル」は、2017年に発売されたアルバム「re:Action」に収録された1曲です。

この「re:Action」は、奥田民生、小田和正など名だたるアーティストを含めた全12組のアーティストをプロデューサーに迎え制作された、リアレンジ・リプロデュースアルバムという新しいコンセプトになっています。

各アーティストには「スキマスイッチのオリジナル音源は一度忘れてもらった上で、詞と曲を各プロデューサーに渡した時にどういう風に装飾してもらえますか?」と依頼しているもので、歌も大橋のボーカルを取り直して作られています。

そのアルバムの最後のトラックにKANのプロデュースした「回奏パズル」があります。
この曲だけは特殊で、1曲をリアレンジするのではなく、複数の楽曲を組み合わせて作られた新しい曲となっています。

当初はKANにも1曲だけのリアレンジを依頼していたようですが、KANのライブでは恒例となっている、ライブのセットリストをメドレーで演奏する「今日のダイジェスト」というものからスキマスイッチが着想を得て、ダメ元で「僕らの今までの作品を全て使って新しい曲を作ってくれないですか?」とお願いしたものだということです。

KANは「(どの曲が素材となっているか)クイズにしたい」と語っており、素材となった楽曲は全部で26曲になっています。歌部分だけでなく、イントロや間奏部分まできちんと楽曲を取り入れて組み立てているところがすごいところです。
制作にあたり、KANはスキマスイッチの全CDを購入し「2016年は俺が世界で一番スキマスイッチを聴いた」という程楽曲を聴き込んだということです。
そして、制作には11ヶ月を要したとのことです。

更には、この「re:Action」に収録されている他の楽曲からの素材を使用することも避ける(一部重なっている楽曲はあるが)という縛りの中、制作されています。

KANは、制作にあたりしょっぱなで曲調をノリノリでいくかラブストーリーを歌ったバラード調でいくか悩んだそうだが、やはり心に残りやすい曲調ということでバラード調を選んだと自身のラジオ番組で明かしています。

様々なメロディーを合わせるだけでも難しいことなのに、メロディーに乗っている歌詞も変えずに意味も通っている様に仕上げているところがとんでもないクオリティだということがわかります。

インタビューでスキマスイッチの常田さんは、「絶対誰にも出来ないです。KANさんだからですよ。」と言っています。

ミュージックヴォイスのインタビュー記事にも、スキマスイッチのコメントが載っています。

「回奏パズル produced by KAN」の歌詞
回奏パズル produced by KAN

窓の外に 優しい吐息
想像は遥か
浮かぶのは 君なのに

限界っていうセリフを盾に
変化なんてさしてない
僕のかすれた声も
君の温度を思い出してた

溢れる雫は絶え間なく
綴る小さな歌
くだらないものがまだなくならない
大抵足元を気にして生きている

今僕が紡いでく 言葉のカケラ
臆病な本音のカケラ
いつになくマジメな声で
呼びかけてほしいのに

足元に投げ捨てた
僕の生き方すべてを
イメージしてみてやめた
暮れてく夕闇が
その瞬間は
伝う 伝う 伝う 涙

誰かのこと 想う気持ち
大切にしたくて
色濃く映り込むから
乗り越えてみせるのさ

胸に抱えてるうつわを
照らす歌になれ
戻らないものはもう戻らない
いったい僕らはどこへ向かうんだろう

今僕が紡いでく 言葉のカケラ
見様見真似だっていいから
勢いで抱え込んだ想いも
込めた願いは確か

今僕の中にある
不器用な愛を乗せて
涙を染み込ませたら
美しく色をつけ
この瞬間は
バイ バイ バイ 涙

そんな風に思ったって
君がいて 僕がいて 手をつないで
突然ふいに
叫べ 砕け
セミコンパートメント
エンジン全開で

今僕が紡いでく 言葉のカケラ
膨らんでは重くなっていく
奥のほうまで感じてくれたら
幸せはいつもそうやって傍にいる

今僕の中にある
幸せを見つけた時
涙を染み込ませたら
照らすものは何ひとつ無くたって きっと ずっと
バイ バイ バイ 涙

準備はいいかい? さあいこう
そろそろどうだい? さあいこう

「回奏パズル produced by KAN」に使われている26曲リスト
  1. 空創トリップ アルバム「夕風ブレンド」(2006年) 収録
  2. 惑星タイマー アルバム「夕風ブレンド」(2006年) 収録
  3. ラストシーン 16th シングル(2012年)
  4. life×life×life アルバム「スキマスイッチ」(2014年) 収録
  5. 8ミリメートル アルバム「ナユタとフカシギ」(2009年) 収録
  6. 雨待ち風 6th シングル(2005年)
  7. アカツキの詩 9th シングル(2006年)
  8. 星のうつわ 22nd シングル(2014年)
  9. 光る アルバム「ナユタとフカシギ」(2009年) 収録
  10. キレイだ アルバム「空想クリップ」(2005年) 収録
  11. 藍 アルバム「夕風ブレンド」(2006年) 収録
  12. ボクノート 7th シングル(2006年)
  13. 石コロDays アルバム「musium」(2011年) 収録
  14. アイスクリームシンドローム 13th シングル(2010年)
  15. さいごのひ 14th シングル(2011年)
  16. 時間の止め方 アルバム「musium」(2011年) 収録
  17. またね。 アルバム「musium」(2011年) 収録
  18. 太陽 アルバム「君の話」(2003年) 収録
  19. ドーシタトースター アルバム「夏雲ノイズ」(2004年) 収録
  20. ズラチナルーカ アルバム「夕風ブレンド」(2006年) 収録
  21. 奏 2nd シングル(2004年)
  22. ゲノム アルバム「スキマスイッチ」(2014年) 収録
  23. ムーンライトで行こう アルバム「ナユタとフカシギ」(2009年) 収録
  24. ガラナ 8th シングル(2006年)
  25. パラボラヴァ 21st シングル(2014年)
  26. 晴ときどき曇 15th シングル(2011年)

歌詞と使用曲の対応
回奏パズル produced by KAN

〜イントロ〜 (空創トリップ〜惑星タイマー)

窓の外に 優しい吐息 (ラストシーン)
想像は遥か (life×life×life)
浮かぶのは 君なのに (8ミリメートル)

限界っていうセリフを盾に (ラストシーン)
変化なんてさしてない (life×life×life)
僕のかすれた声も (雨待ち風)
君の温度を思い出してた (アカツキの詩)

溢れる雫は絶え間なく (星のうつわ)
綴る小さな歌 (光る)
くだらないものがまだなくならない (キレイだ)
大抵足元を気にして生きている (藍)

今僕が紡いでく 言葉のカケラ (ボクノート)
臆病な本音のカケラ (石コロDays)
いつになくマジメな声で (アイスクリームシンドローム)
呼びかけてほしいのに (さいごのひ)

足元に投げ捨てた (ボクノート)
僕の生き方すべてを (ラストシーン)
イメージしてみてやめた (ラストシーン)
暮れてく夕闇が (さいごのひ)
その瞬間は (時間の止め方)
伝う 伝う 伝う 涙 (またね。)

誰かのこと 想う気持ち (ラストシーン)
大切にしたくて (アカツキの詩)
色濃く映り込むから (雨待ち風)
乗り越えてみせるのさ (太陽)

胸に抱えてるうつわを (星のうつわ)
照らす歌になれ (光る)
戻らないものはもう戻らない (キレイだ)
いったい僕らはどこへ向かうんだろう (藍)

今僕が紡いでく 言葉のカケラ (ボクノート)
見様見真似だっていいから (石コロDays)
勢いで抱え込んだ想いも (アイスクリームシンドローム)
込めた願いは確か (さいごのひ)

今僕の中にある (ボクノート)
不器用な愛を乗せて (ラストシーン)
涙を染み込ませたら (石コロDays)
美しく色をつけ (さいごのひ)
この瞬間は (時間の止め方)
バイ バイ バイ 涙 (またね。)

そんな風に思ったって (ドーシタトースター)
君がいて 僕がいて 手をつないで (ズラチナルーカ)
突然ふいに (奏)
叫べ 砕け (ゲノム)
セミコンパートメント (ムーンライトで行こう)
エンジン全開で (ガラナ)

〜間奏〜 (パラボラヴァ)

今僕が紡いでく 言葉のカケラ (ボクノート)
膨らんでは重くなっていく (石コロDays)
奥のほうまで感じてくれたら (時間の止め方)
幸せはいつもそうやって傍にいる (晴ときどき曇)

今僕の中にある (ボクノート)
幸せを見つけた時 (ラストシーン)
涙を染み込ませたら (石コロDays)
照らすものは何ひとつ無くたって きっと ずっと (さいごのひ)
バイ バイ バイ 涙 (またね。)

準備はいいかい? さあいこう (時間の止め方)
そろそろどうだい? さあいこう (時間の止め方)

〜アウトロ〜 (ラストシーン〜星のうつわ)

シングル曲だけでなく、各アルバムから満遍なく楽曲を取り入れていることがわかります。

また歌部分だけでなく、スキマスイッチの歌なしのインスト「空創トリップ」をイントロに入れてくるあたりがよいですよね。
そして間奏部分に「パラボラヴァ」を持ってきたところで、そうきたか〜と感動しました。
ギターソロもKAN自身で録音しているとのことでこだわりが感じられます。

そしてこの曲にはストリングスも存分に入っており、壮大な雰囲気の曲に仕上がっています。

KANはピアノを中心としたシンガーソングライターですが、KANのストリングスのアレンジは、プロでもすごいと思わせるほどだということです。
妻の早稲田桜子さんがバイオリニストということもあるかもしれませんね。

極めつけにすごいのが、曲の長さまで意味を持たせているという点です。
この曲の7分9秒という長さは、スキマスイッチのデビュー日である7月9日にかけてあるということです。

なんとも遊び心というかこだわりというか、やれること全部やってくれちゃうところがさすがです。

この曲をはじめて聴いたときのスキマスイッチの二人のリアクション(まさにre:Action)が気になるところです。

OfficeAugustaのYouTubeチャンネルに「回奏パズル produced by KAN」レコーディング映像が残っています。

スキマスイッチ「回奏パズル produced by KAN」レコーディング映像

YouTubeチャンネル:OfficeAugusta

アーティスト:スキマスイッチ, Writer:スキマスイッチ, その他:KAN, その他:Mummy-D, その他:宇多丸, その他:DJ JIN, その他:Mountain Mocha Kilimanjaro
¥3,148 (2025/11/08 22:00時点 | Amazon調べ)

魔法がかかった日

「魔法がかかった日」は、2024年に発売されたアルバム「A museMentally」に収録されています。

この曲は非常にKANをリスペクトしているのがわかる歌でした。
さきほどの「回奏パズル」のお礼として答えるような曲だと感じます。

曲・ピアノを聴く限り、ベースとなっているのは「Songwriter」でしょう。

歌いだしは「何の変哲もないLove Song」を彷彿とさせる入り方でした。
そして歌詞の中には「青春の風」「ときどき雲と話をしよう」「涙の夕焼け」「遥かなるまわり道の向こうで」「世界で一番好きな人」など、KANさんの曲だとわかるタイトルがところどころに散りばめられています。

しかし、この曲は実はタイアップ曲で、それように書き下ろした曲でもあるということが驚きです。
TOYOタイヤの「すべてのトラック・バス事業に携わる人たちに感謝を伝えるプロジェクト2024」テーマソングになっており、確かにテーマどおりの歌詞だと言われれば、そうにしか見えてきません。

KANへの想いが薄れてしまうではないかとも一瞬思うのですが、ユーモアあふれるKANを想うと、隠れたメッセージ的に載せられた曲のほうが面白がってくれそうとも思います。

「魔法がかかった日」の歌詞
作詞:大橋卓弥・常田真太郎
作曲:大橋卓弥・常田真太郎

澄み渡る高い空と
窓を流れる景色 遠くで聴こえるのは
Uh あなたが笑う声

荷台(トランク)に積み込んだ夢は
青春の風に乗り明日を輝かせる種
Uh 心に花が咲く

ユニフォームのポケットの中に 優しさとユーモアを持って
あの街までこの街まで ときどき浮かぶ雲と話しながら
アクセルを踏み込んで

あなたが僕にくれる魔法は
孤独で寂しくなる涙の夕焼けでも
Uh 寄り添ってくれる

時には疲れてしまったり たまには人生(みち)に迷ったり
でも遥かなるまわり道の 向こうで待っていてくれる人がいる
世界でいちばん好きな人

あなたが僕にくれた魔法は
消えることなく刻まれた永遠のメロディー
Uh あなたが笑う声

未来へ響き渡る

「ユニフォームのポケットの中に 優しさとユーモアを持って」という歌詞も、トラック・バス事業の関わる人のユニフォームのことと納得できる一方、KANに向けたメッセージと見ると、「野球選手が夢だった。」を連想され、少年時代に野球をやっていたという本人の優しさとユーモアのことだと感じられます。

そしてスキマスイッチ2人にとって、ファンにとってKANは魔法をかけてくれた人であり、KANが届けてくれた曲は消えることなく刻まれた永遠のメロディー、あなたが笑う声、あなたが歌う声が未来へ響き渡るというメッセージを十分にメロディーに乗せてくれました。

鍵盤を担当する常田さんは、自身のYouTubeチャンネルでピアノがものすごく難しかったことを語っています。今後のライブでの演奏を不安に感じる場面も⋯。

参考

◎映像情報

New Album『A museMentally』視聴会<後編> スキマスイッチのこのヘンまでやってみよう

YouTubeチャンネル:『スキマスイッチのこのヘンまでやってみよう』

KANとスキマスイッチと

KANと関わる人たち

2023年11月には、KANの逝去後すぐに彼をリスペクトするアーティストが歌い繋いだ「KANのChristmas Song 2023」が披露されました。
リリースはなく、ラジオでON AIRされるのみでした。

参加アーティストは、aiko/トータス松本(ウルフルズ)/スキマスイッチ/根本要(スターダスト☆レビュー)/秦 基博/馬場俊英/槇原敬之

そして、大々的に行われたのが「KANタービレ~今夜は帰さナイトフィーバー~」です。

出演したアーティストは以下のとおりです。

ASKAは実は幼少期にKANと遊んだことがあったとのことです。5〜6歳の時に缶蹴りをしたらしいのですが、そのときには知らずに、あとでそれがKANだったことがわかったそうです。

そして、2010年に「予定どおりに偶然に」という共作を出しています。
ASKAの代表曲、『はじまりはいつも雨』の「ぼくは上手に君を愛してるかい愛せてるかい」という歌詞からは「ぼくは上手に君をつかまえてられるかな」、『晴天を褒めるなら夕暮れを待て』の「科学は正しいと言う迷信の風で育った」という歌詞からは「科学は正しいと言う迷信の風邪ひいて」と一部オマージュとして使用しています。そして曲中一部「SAY YES」のメロディーも入っていたりします。

また2021年には、KANと秦基博の共作となる楽曲「カサナルキセキ」をリリースしました。

この曲にはまた仕掛けがされており、2020年11月発売したKANの「キセキ」と、2021年1月に発売した秦 基博の「カサナル」という楽曲を重ねた楽曲が「カサナルキセキ」です。

酷似した2曲は計画的に作られたもので、無言を貫いて申し訳ありませんということで、YouTubeで「謝罪会見」として公開するというこれもまたKANの遊び心満載の演出でした。

KAN+秦 基博『カサナルキセキ』謝罪会見& Music Video

YouTubeチャンネル:秦 基博

桜井和寿も、Mr.Childrenの名曲「Over」が、KANの曲が元となっており、「まゆみ」と「言えずのI LOVE YOU」を融合させた曲だということを明かしています。

また、1990年リリースのアニメ「YAWARA!」のオープニングテーマ曲に使用された今井美樹の「雨にキッスの花束を」の作曲をしたのもKANでした。

その他、薬師丸ひろ子、森高千里、藤井フミヤなど大物ミュージシャンの楽曲にも関わり、モーニング娘。と同じ所属事務所アップフロントであることもあり、こぶしファクトリー/Juice=Juice/後藤真希/松浦亜弥/℃-uteなどの楽曲制作にも関わっています。

その他にも、他にも何人・何組も関わりのあるアーティストはたくさんおり挙げればキリがありません。

KANをリスペクトしているアーティストも、公言している以下の人たちなどたくさんいます。

KANの葬儀・告別式は近親者のみで行われたそうです。

しかし遊び心満載で人を楽しませることが大好きなKANが普通の葬儀にするわけもなく、「らしさ」を貫いた演出でした。
遺影は夏目漱石風にし、返礼品はPOPでカラフルなパッケージのポップコーンだったそうです。
言葉を発せれば必ず冗談を入れ、音楽イベントでも脚本を書き、演技指導、立ち位置まで決めるような舞台監督的な役割までしてしまうKAN。最後まで最高のエンターテイナーでした。

UP-FRONT WORKS
¥3,366 (2025/11/04 06:13時点 | Amazon調べ)

KANとスキマスイッチと

KANとスキマスイッチから思うこと

KANが手掛ける楽曲にはオマージュがよく含まれます。
ビートルズ、ジョン・レノンポール・マッカートニーのソロ作品、ビリー・ジョエル、スティーヴィー・ワンダー等から強く影響を受けており、楽曲の節々にそれらを感じることができます。

しかし、KANは普段表に出さないものの音楽理論もものすごく長けており、オマージュと言いながら本気で研究して、本人になりきっているくらいしっかりした楽曲を作ります。
KANが誰かとコラボしたり、楽曲を提供する場合には、必ずそのアーティストが書きそうな歌詞、作りそうなメロディーを必ず入れています。
それだけそのアーティストのことを調べているし、必ずリスペクトが入っているように感じられます。

KANの楽曲の中で、洋楽をあまり詳しくない私がビートルズのオマージュらしさをはじめて感じたのは、「GIRL TO LOVE」でした。
本人がオマージュとしたのかは定かではありませんが、個人的にビートルズの「The Long And Winding Road」と同じような切なさとノスタルジックな雰囲気を感じました。

Mr.Childrenの桜井氏はKANの影響を受けてオマージュとした楽曲を作っていましたが、KANはその反対に逆輸入的なこともしています。

KANは自身のアルバム「6✕9=53」に収録されている「scene」は、スキマスイッチの「全力少年」、ミスチルの「箒星」を意識して作った楽曲だと「KAN詞集 きむらの和歌詞(わがし)」で綴っています。

仮タイトルは「全力箒星」ということで、完成させるにあたって、Mr.Childrenの2000年代シングルを熟聴して、メロディーやコード展開を理論的に分析し、歌詞はスキマスイッチの「全力少年」をイメージして仕上げたということです。
このことは、2人からリスペクトパロディとして許容できるかを伺って快諾してもらったということで、このようなやりとりができる音楽業界って素敵ですね。


またKANは、aikoやperfumeのライブでよく使われている「男子〜」「女子〜」というようなコール&レスポンスを自身のライブでも取り入れて真似するなどいう面もあります。
後輩のよいところも認めて、よいものはしっかり取り入れるという素直さと少しかわいさも見えますよね。

回奏パズル produced by KAN」から思うのは、まず、アルバム「re:Action」がコンセプト・アルバムであるがゆえにあまり、KANのこの偉業があまり世間に知られていないのではというところに悔しさを感じます。しかし逆に、こんなすごい曲をこんなところに潜めてるというところで嬉しくもあったりし、なんとも複雑な気持ちです。

実は初めて「回奏パズル」を聴いたとき、前情報が全く入ってなかったため、ちょっとフレーズのつなぎ目に不自然さを感じました。そして、「あれ?このフレーズあれじゃん!」「あれ?こっちのフレーズあれじゃん!」と徐々に紐解かれ、パズルのように組み合わされたものだと気づいたとき、「ナニコレすげぇ」と感動したことを憶えています。
このような感動ってなかなか味わえないですよね。
「カサナルキセキ」は全くノーマークだったため、リアルタイムで追えてたら同じくらい感動できたかもしれないですね。

また、KANとスキマスイッチの楽曲で個人的にリンクするところがあります。
それは、KANの「Songwriter」にある”La la la la la la la, la la la la la la la, la la la la la la la こんなメロディーはどう”という歌詞と、スキマスイッチの「パラボラヴァ」にある”そう ah〜 こんなメロディを 君は気にいるかな”という歌詞です。

KANの方は、まだ見ぬ未来の恋人に向けての言葉はないけどまずはメロディーを作ったよというメッセージ(と捉えられた)なのに対し、スキマスイッチの方は幸せいっぱいのときの恋人に向けてのメッセージで、メロディを人生になぞらえていると思われるため、状況に違いはあるのですが、こんなメロディーはどうと投げかける感覚が同じセンスに感じられて嬉しくなりました。

KANがビートルズやビリー・ジョエルを慕うのと同じく、KANを慕う人も多くいます。
ミスチルの「Over」は先程挙げたとおり、KANの楽曲のオマージュでしたし、そのデモテープのタイトルが「2ビートでKAN」という名前だったとのことです。

同じくミスチルの「終わりなき旅」もKANの「まゆみ」「MAN」の融合だと桜井氏本人が公言しています。

スピッツの草野マサムネはKANの高校の後輩で、スピッツの「正夢」には「愛は必ず最後に勝つだろう」という歌詞が含まれており、KANの「愛は勝つ」の影響を受けていると言われています。

CHAGE and ASKAの「SAY YES」もKANの「愛は勝つ」のような曲を作りたいと思ってできた曲だそうです。

aikoも学生時代からKANのファンで、どこかでKAN風の音色が出ているかもしれないし、今後も出るのかもしれないと言っています。

曲ではなくタイトルですが、ゆずの曲に「言えずのアイライクユー」という曲がありますが、これもKANの「言えずのI LOVE YOU」が元になっているのは明らかですね。

一方、スキマスイッチも影響を受けたアーティスト、影響を与えたアーティストがいます。

大橋がMr.Children大好きなのは有名ですが、その他にも影響を受けたアーティストとして玉置浩二、ビートルズ、德永英明らを挙げています。
常田は槇原敬之と小林武史、GRAPEVINEを挙げています。また、二人のルーツとして奥田民生が挙げられています。

そしてスキマスイッチから影響を受けたというアーティストもたくさんいます。

いずれも、歌詞やメロディーを作る上での音楽のルーツになっていたりするとのことです。

スキマスイッチは特に、歌詞がよいというのは評判で、歌詞やメロディーへの隠れた意味付けが多い印象です。楽曲によって比喩も多用して間接的、抽象的な表現をするものと、具体的で直接的な表現をするものと使い分けており、ダブルミーン、トリプルミーンと複数の意味を持たせたり受け取り方のバリエーションが多いところも魅力です。
本人たちはそれについてあまり細かくは語らないところも、あえて聞き手によって感じ方が変わってほしいというところだと思うのでよいと思います。

この辺りの魅力も、様々なアーティストに影響を与えているひとつだと思います。

ミスチルの桜井氏がラジオで言っていたと思うのですが、桜井自身は、KANや浜田省吾、ハウンドドッグらの影響を受けており、さらにはMr.Childrenの影響を受けたスキマスイッチなどがいて、音楽を繋いでいっているという表現をしていました。

本当にそうだと思います。KANもビリー・ジョエルらの音楽の影響を受けて、その音楽を引き継ぐ人がいて、音楽を繋いでいく。
それは、音楽理論的なことだけでなく、音楽に向ける姿勢みたいなものも含めてです。

特に、コンサートでファンをこれでもかというくらい楽しませようとするマインドや、ASKAや秦 基博らとコラボするなど、所属事務所関係なくファンが喜びそうなこと、面白そうな企画をするところ、きちんと技術をもって実際にそれをやってのけるところは、KANらしいところだと思います。

これらを引き継ぐのはなかなか簡単ではありませんが、KANを知る人ならそのマインドは必ず心に残っていると思います。

KANの音楽に対して真剣なところ。こだわりがあるところ。
人の音楽をきちんと知ろうとするところ。
素直にリスペクトできるところ。それを取り入れられるところ。
人を楽しませることが好きなところ。エンターテイナーであること。
よいと思うことに突き進めるところ。人を巻き込んでお互いの良いところを引き出せるところ。
おちゃめなところ。かわいいところ。

本当に色々なことを残してくれました。

参考

KANタービレ~今夜は帰さナイトフィーバー~特設サイト:https://kantabile.jp/


UP-FRONT WORKS
¥3,366 (2025/11/04 06:13時点 | Amazon調べ)
アーティスト:スキマスイッチ, Writer:スキマスイッチ, その他:KAN, その他:Mummy-D, その他:宇多丸, その他:DJ JIN, その他:Mountain Mocha Kilimanjaro
¥3,148 (2025/11/08 22:00時点 | Amazon調べ)
シンコーミュージック
¥3,000 (2025/11/04 06:13時点 | Amazon調べ)

モバイルバージョンを終了